ヨガとピラティスの違いってご存知ですか?
「ヨガとピラティスって、どこがどう違うの?」という質問をよく受けます。似たようなウェア、似たようなポーズが原因で、同じものと思っている人も多いかもしれません。しかし似ているようで、起源や目的などはまったく違うものなのです。歴史をはじめ、呼吸法やり方などの特徴、その効果など、ヨガとピラティスの違いを紹介していきます。
目次
- ○ ヨガとピラティスそれぞれの成り立ち
- ・ヨガの成り立ち
- ・ピラティスの成り立ち
- ○ ヨガとピラティスでは呼吸法も違う
- ○ やり方と効果の違い
- ○ ヨガとピラティス、どちらをやるべきか。選ぶポイントは
- ○ 両方体験し、自分に合うほうを選ぶのがよい
- ○ まとめ
ヨガとピラティスそれぞれの成り立ち
ヨガの成り立ち
【ヨガ】
約4500年前の古代インドで発祥した、仏教などの修行法のひとつ。瞑想をしているような坐像が遺跡から発掘されたことで、その頃が起源とされています。飢えや戦い、病気などの苦しみから救われるための方法、悟りに至るまでの手段として「瞑想」が生まれました。精神の安定を図る効果が期待されています。ヨガのポーズ「アーサナ」は、そもそも瞑想のための座り方を意味します。その後、瞑想の坐法を補助するために、さまざまなポーズが確立されていきます。ヨガは呼吸とストレッチに重点をおきながら筋肉を強化していく運動です。そのためヨガレッスンは、深い呼吸に意識をおいて進められます。
インドの思想体系に根ざした修行・治療法で、悟りを学ぶことを目指しています。それらが背景にあることから、単なる健康法としてだけでなく、リラクゼーションやうつ病の対策にも効果的だといわれています。エクササイズだけでなく多岐にわたる効果効用が知られています。呼吸法とヨガポーズで静止することで精神を強化し、心と体を調和していくことを目的としています。
ストレッチのみならず、瞑想や座禅をする動きも取り入れ、精神統一を行います。
修行のひとつとして始まったヨガは、そのポーズ「アーサナ」と呼吸法、瞑想で心と体を結びつけ、心身が最も安定した状態をつくることを一番の目的と捉えられています。心が安定した状態とは、簡単に言うと心が充実して「幸せ」を感じること。ヨガでは、そういった精神面を大切にしています。
ピラティスの成り立ち
【ピラティス】
ドイツ人のジョセフ・ピラティスが、幼少期に自身の病弱な身体を改善するために考案したのがそもそもの始まりです。その後、第一次世界大戦で従軍看護師として看護にあたっていたことで、負傷兵が寝たままリハビリできるエクササイズへと発展。さらに1926年にピラティス氏がアメリカに渡り、そのエクササイズがニューヨークのダンサーに受け入れられたことが、現在のピラティスにつながっています。
正しい姿勢へと導くことで、姿勢がよくなり、ボディラインが変わるスペシャル・メソッドとして、2000年以降セレブリティ―に支持され、人気に火がついたピラティス。そもそもピラティスは、ダイエットのための運動として体系化されたものではなく、身体に負担をかけず、強くしなやかな筋肉をつけることを目的としたエクササイズ。骨格を意識しやすいようにマシンを用いることもあります。
その特徴は、音楽に合わせてリズミカルに動いたり、回数や量をこなす運動と違い、お腹の深層にある筋肉や肩甲骨周りの筋肉など、自分自身の身体に意識を向けて運動することにあります。
このような独特な動きが、普通に生活しているだけでは失われていく筋力を回復させてくれるのです。そしてその結果、ケガの防止やリハビリだけでなく、たるみを防ぎ、プロポーションや姿勢を維持・改善することに大きく役立っています。
無理なく筋肉を鍛え、機能的・効率的な体作りが可能です。
また、ピラティスは体幹部の深層筋(インナーマッスル)を鍛えるとともに、普段意識することが少ない骨盤底筋にも働きかけ、尿漏れや便秘・内臓系の不調にも効果的で、まさしく「身」に重点を置いたエクササイズです。ピラティスは、インド発祥のヨガを参考にして体系化された運動です。そのため、ヨガに似ている部分が多いのは当たり前なのです!
ヨガとピラティスでは呼吸法も違う
【ヨガ】
さまざまな呼吸法がありますが、基本は腹式呼吸。お腹が小さくなるまで鼻から息をすべて吐ききり、鼻から息を吸ってお腹をふくらませていきます。肋骨の周りとお腹の境目にある横隔膜を大きく上下に動かしながら、意識的に呼吸を繰り返します。この意識した呼吸を「プラーナーヤーマ」といい、全身の気(プラーナ)の流れをコントロールしていきます。呼吸法とヨガポーズで静止することで精神を強化し、心と体を調和していくことを目的としています。吐く息で副交感神経を活性化し、吸う息で交感神経に刺激を送ります。吸う息も吐く息も鼻からの呼吸で行います。
【ピラティス】
胸式ラテラル呼吸。鼻から息を吸って横隔膜が下がり、肋骨を縦横、上下とあらゆる方向に広げるようにします。胸の中にボールがあるようなイメージで、胸の前にも横にも背中にも、胸の隅々まで酸素で満たします。口から息を吐くときは、ふくらんだ胸のボールが小さくなっていくイメージで、おへそを背骨に近づけるように腹筋の力を使ってすべて吐ききります。
やり方と効果の違い
【ヨガ】
呼吸に合わせてポーズ(アーサナ)をキープしていきます。ピラティスのように流れるように動いていくのと違って、長いキープが一番の違いでしょう。コントロールされた呼吸(プラーナーヤーマ)をしながら、アーサナをキープします。心と体、プラーナに集中することで、瞑想の状態へと導きます。
ヨガでは腹式呼吸、それも意識した呼吸(プラーナーヤーマ)を行います。その呼吸は、副交感神経を活性化させ、乱れた自律神経を整えます。安定したポーズで体と心のバランスを整えることで、精神的なリラックス効果が感じられます。精神面での強化のほかに、内臓にも働きかけ身体の中から整えます。
【ピラティス】
ピラティスの効果を引き出すために重要なポイントがいくつかあります。すべてを一度に身に着けるのは難しいですが、ひとつずつできるところから覚えていくとよいでしょう。
・身体の動きと呼吸のリズムを合わせて、血液の流れをよくし緊張を取り除く。
・表面の筋肉アウターマッスルをギュッと固めてしまわないよう、深層の筋肉コアを安定させ、コアからの手足へと動いていくこと。
・背骨や骨盤などが正しい位置にあり、正確に動くこと。
・自分の身体に意識を向けて、筋肉や骨のひとつひとつの動きに集中。
・動きのひとつひとつを結びつけながら、なめらかに流れるような動きを目指す。
胸式ラテラル呼吸を行うことで交感神経が働き、心と体を活性化させます。ピラティスの呼吸法も横隔膜を意識的に動かすので、自律神経を整える効果があります。身体の深層にあるコアの筋肉を鍛えることも大きな効果のひとつ。とくにお腹周りの深層筋を意識するエクササイズで、体幹を強化していきます。また、背骨や骨盤などを正しい位置に整えることで姿勢改善など身体の矯正にもつながります。
ヨガとピラティス、どちらをやるべきか。選ぶポイントは
【心身を安定した状態に保ちたい人はヨガ】
「ヨガとピラティスでどちらをやったらいいの?」という相談もよくされます。レッスンで出会う方たちの選ぶ傾向を見るかぎり、仕事や人間関係などでストレスを抱えがちで、そのような生活や環境に心を乱されず心身を安定した状態に保ちたいと願う人は、ヨガを選ぶことが多いようです。リラックス効果があるのはヨガ
【ボディメンテナンスやコンディション改善ならピラティス】
身体のゆがみや偏りなど姿勢の矯正や、とくにお腹まわりの筋力の衰えを改善したい人は、ピラティスが向いているでしょう。ピラティスはさまざまなトレーニング・健康法を取り入れて考案されたもの。その中にヨガも含まれています。そのため「ヨガのポーズ」と「ピラティスのエクササイズ」には、同じようなものがあります。骨格のゆがみや筋力不足を解消できるのはピラティス
しかし、それぞれ意識すること、呼吸法、ポーズをキープするか動きがあるかなど、形が同じでも細かな違いがあります。まずは、形を覚えることも大事です。どちらかを覚えていれば、もう片方にも活かせることはたくさんありますので、どちらもバランスよく続けられている方もいます。
ヨガ ピラティス
重視 精神面 肉体面
起源 修行法 リハビリ法
歴史 紀元前2500年頃の東洋 1920年頃の西洋
呼吸法 腹式呼吸
(副交感神経に働きかける) 胸式呼吸
(交感神経に働きかける)
目的 リラックス 体作り
方法 ポーズを取って静止 常に体を動かす
両方体験し、自分に合うほうを選ぶのがよい
ヨガもピラティスも効果的には共通する部分がたくさんあります。ヨガでも体の芯を安定させ、きれいな姿勢をつくる効果はありますし、ピラティスでもストレス解消・リラックス効果が得られますし、どちらにも身体の柔軟性を高める効果はあります。自分の心や身体と相談するためには、やはり一度両方を体験し、どちらが自分に向いているか確かめてみるといいでしょう。
どちらを始めてみようかと悩んでいる方は、まずは動作の好みから選択してみてはいかがでしょうか?
動くのが苦手で、どちらかと言えばリラックス効果を得たい方はヨガを、反対に、ポーズを取ってじっとしているのが難しそうと感じる方は常時動いているピラティスを。
ヨガでは精神統一の効果もあり、身体だけでなく心が乱れていると感じる時にもお勧めです。
ピラティスでは特に美しいプロポーションを手に入れたい、動くことによってストレス発散したい、他のスポーツやダンスを極めるために基礎体力をつけたい場合などにもオススメ。
方法は違えど、どちらも心身共に直接働きかけることができる素晴らしい運動・健康法です。
是非とも自分に合ったメソッドを見つけて頂き、楽しく続けてみてください。ヨガやピラティスを通して心と身体の変化を楽しんで頂けることでしょう。
特にデスクワークの多い現代女性は、歪みを意識して直そうとしている人でない限り、ほとんどの場合骨盤や背骨などに歪みが生じています。
ヨガやピラティスを行うことにより、骨盤を正しい位置に戻し、女性らしいボディバランスを保つことが可能です。
骨盤矯正を行うことで腰痛や肩凝りの改善、頭痛の緩和に繋がり、美しい姿勢をキープできます。
また、筋力の増加と共に、息を吐きながら身体を伸ばすことにより、柔軟性がアップします。
柔軟性のある柔らかい身体は関節の動く範囲が広く、動きやすい状態にあるため、身体が硬い人に比べてケガをしにくくなったり、無駄な動きがなくなります。
・ヨガとピラティスの主な共通点
① 体の歪みを整え、筋力増加と柔軟性を上げる効果
② ②新陳代謝UP⇒お肌や髪の毛に艶を与え、若々しくいられる効果
どちらも呼吸を大切にし、身体の軸からしっかり整えていくことを目的としています。
ヨガはポーズを取って左右のバランスを整えることで、
ピラティスは深層筋を鍛えることで
血流アップに効果をもたらします。
血流が良くなると、身体の隅々まで酸素や栄養素を運ぶことができ、冷え性の解消や高血圧の予防、基礎代謝も上げてくれます。
新陳代謝、つまり、身体に溜まった古い細胞が新しく生まれ変わることにより、お肌や髪の毛、爪など、頭から足先まで全てを美しく、艶が出てくることを実感できるでしょう。
ヨガは人によっては難しいと感じるポーズもありますが、病人やケガ人向けに開発されたピラティスは幅広い層に効果をもたらし、無理なく筋肉を鍛え、機能的・効率的な体作りが可能です。
また、ピラティスは体幹部の深層筋(インナーマッスル)を鍛えるとともに、普段意識することが少ない骨盤底筋にも働きかけ、尿漏れや便秘・内臓系の不調にも効果的で、まさしく「身」に重点を置いたエクササイズです。
世界的に活躍している人気モデルのミランダ・カーさんは、ヨガの愛好者として知られていますし、女優の米倉涼子さんはピラティスでボディーコンディショニングを継続しています。
ミランダさんは、ヨガで心身を落ち着かせることが生活の一部であると話しています。ダンスもある長時間の舞台主演を務める米倉涼子さんは、継続した体づくりのためにピラティスが適しているのだそうです。
環境や生活に流されず、自分自身のコンディションを整えたい人はヨガを、骨格のゆがみや筋力不足による体調不良を改善したい人はピラティスを、選ぶといいと思います。
また、ヨガ・ピラティスは継続して続けることが大切です。 短期間での変化を期待せず、なりたい理想の自分をイメージし、心身をゆっくり整えていくように心がけましょう。
まとめ
百聞は一見に如かず。ここでいろいろな知識を得ても、今迄の運動経験や、それぞれの抱える悩みはひとそれぞれ。
一度両方を体験してみるのが一番のおススメです。
一日で二回レッスンをしてみるも良し、一週ずつ分けて体験してみるも良し。
ご自身の体力やペースで、体感頂いて、ご自分に合っているもので、長く続けられそうなものを選ぶことが大事です。